もう一人の私のゲーム日記

自分のゲーム体験等を書いていきます多分

後悔

「久しぶり、7年ぶりか?」
再開した友人たちとはじめに交わした言葉がそれだった。
昔話をしながら会場へ向かう折
「そういえばさっちゃんは?アイツも来るんやろ?」
空気が一気に凍りついた。なにかあったのか?と続けて問う
 
「来ねえよ」
 
ポツンと誰かが呟いた。気まずい空気のまま会場に着く
会場に着くなり、かつての友人たちが駆け寄ってきて口々にこういった
「なんで教えてくれへんかったん!?」
「一番仲良かったんお前やろ!」
「やめろや一番つらいのコイツやろ」
話が読めない、何を言っている?
 
「まさか、亡くなってたなんて…」
かすかに聞こえた一言に背筋が凍った、誰の話だ?
 
狼狽えていた頭が一気に覚める
「おい、誰が亡くなったって?ちゃんと説明してくれ」
騒然としていた会場が静まり返った
「だれって…浅野さんのことやろ…?」
動悸が激しくなり冷や汗が吹き出す。アイツが…亡くなった?
「あのさ…」
出迎えてくれた友人たちがぽつりぽつりと話し始めた。
 
「俺も先月知ったんだが…5年前…」
 
「詳しくは聞かんかったけど…」
 
「誰も同じとこには行ってなかったから、連絡もあんまり取れんくて…」
 
「俺たちはてっきりお前が連絡してると思ってたんやけど」
 
「時々こっちに戻ってきてるから会いに行ってると思ってたけど…」
 
確かに大阪を出てから1年目までは少し連絡を取っていた。アイツが高校でも新しい友人がたくさんできたと、嬉しそうに話していたのを思い出す。
それで安心してこちらから連絡することはなくなり、2年目には一切連絡は取らなかった。だが…『イジメにあっているなどと、一言も言ってはくれなかった』
 
「誰一人関心を持たなかった」
声が漏れていた。
実際誰も関心がなかったわけではない。だが遠慮してしまったのだ。新生活に、あまり関われない自分が入り込むのは申し訳ない…と。あまつさえ友に対して。
「親友などとおこがましい」
捨てられるのが怖くて、自分から距離を取っていただけにすぎない。
 
楽しい再会のはずが、お通夜のようになってしまった。
 
「ごめん、すこし一人に…」
会場を後にして、涙とともに思い出が溢れ出す。後悔してももう遅い、わかっているのに。
(それでも…)
 
たった一言でよかった、元気か、今何してる?最近どう?今日話せる?今度遊びに行くわ、なんでも良かった。
 
たった一歩、勇気を出していれば、今頃何か違っていたのか。そんなもしもを考えずにはいられない。
あの時君に言われた『またいつか』
もう二度と叶うはずもない約束
 
紅く染まった夕空に桜が舞っている。あの時と変わらない情景。最初に君と出逢ったこの季節で。
 
さよなら私の片割れ、愛しい人