再開した友人たちとはじめに交わした言葉がそれだった。
「そういえばさっちゃんは?アイツも来るんやろ?」
空気が一気に凍りついた。なにかあったのか?と続けて問う
「来ねえよ」
ポツンと誰かが呟いた。気まずい空気のまま会場に着く
会場に着くなり、かつての友人たちが駆け寄ってきて口々にこういった
かすかに聞こえた一言に背筋が凍った、誰の話だ?
「おい、誰が亡くなったって?ちゃんと説明してくれ」
動悸が激しくなり冷や汗が吹き出す。アイツが…亡くなった?
出迎えてくれた友人たちがぽつりぽつりと話し始めた。
「誰も同じとこには行ってなかったから、連絡もあんまり取れんくて…」
「俺たちはてっきりお前が連絡してると思ってたんやけど」
「時々こっちに戻ってきてるから会いに行ってると思ってたけど…」
確かに大阪を出てから1年目までは少し連絡を取っていた。アイツが高校でも新しい友人がたくさんできたと、嬉しそうに話していたのを思い出す。
それで安心してこちらから連絡することはなくなり、2年目には一切連絡は取らなかった。だが…『イジメにあっているなどと、一言も言ってはくれなかった』
実際誰も関心がなかったわけではない。だが遠慮してしまったのだ。新生活に、あまり関われない自分が入り込むのは申し訳ない…と。あまつさえ友に対して。
捨てられるのが怖くて、自分から距離を取っていただけにすぎない。
楽しい再会のはずが、お通夜のようになってしまった。
会場を後にして、涙とともに思い出が溢れ出す。後悔してももう遅い、わかっているのに。
たった一言でよかった、元気か、今何してる?最近どう?今日話せる?今度遊びに行くわ、なんでも良かった。
たった一歩、勇気を出していれば、今頃何か違っていたのか。そんなもしもを考えずにはいられない。
紅く染まった夕空に桜が舞っている。あの時と変わらない情景。最初に君と出逢ったこの季節で。